RAPにできないラッパーの本音 by ゆうま

MCバトル練習会ゆうまーるBP主催者&参加者募集中/東大の大学院生/YouTuber1年生/演劇とRAP/世界最大エビフライ食べたい/twitter @yuma_k_0712

MCバトルで勝つためのヒント? ”誰が”何を言うのかが肝心

大学院生ラッパー、ひらがなで、ゆうまです。

テレビ朝日フリースタイルダンジョン、
高校生RAP選手権などと、MCバトルが流行っていますが...

ワタクシ、MCバトル出場歴10年目。
ベスト8、ベスト4、準優勝など、いいところまでいった経験はございますが...

いまだに優勝はなく、現在も
負けて負けて負けまくってます。

その理由、
単純にRAPのうまさや、RAPのリリックの内容で負けた、というのもその通りですが、

それ以外にもあるかと思います。

今日お話したいのは、

ワタシの体験談に基づく、ワタシが負け続けてきた理由のひとつ。

それは、”誰が”何を言うのか? という問題です。

そう、全く同じ言葉を吐くにしても、

''誰が” 

その言葉を言うのかによって、

説得力も意味合いも大きく左右し、

それは確実に勝敗に影響します。


同じ言葉を言っていても、人によって「言葉の重み」が変わってくるということです。


例えば
「クソッタレな人生も上等さ」というフレーズを考えて、次のように想定してみましょう。(このフレーズを最初に言ったのは、フリースタイルダンジョンにも出演されているMC漢さんです。)

彼は言います
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「クソッタレな人生も上等さ」

彼らも言います
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「クソッタレな人生も上等さ」

彼も言います
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「クソッタレな人生も上等さ」

彼も言います
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「クソッタレな人生も上等さ」

伝わりましたでしょうか?

”誰が”何を言うのかによって、
同じ言葉でも意味合いが異なる。

もちろん、以上の4名が「クソッタレな人生も上等さ」というとき、それぞれ個性があり、
面白さがあるのもそうだと思いますが、

果たして、MCバトル本番で、
ヒップホップ好きのファンたちが沢山集まるなかで、
「クソッタレな人生も上等さ」
のフレーズに歓声をあげたくなるのは、どんなラッパーがこの言葉を吐いたときでしょうか?

同じことは、「韻を踏んだ際の盛り上がり」にも言えることです。

ある無名なラッパーがこんなに長い文字数で韻を踏んでるのに、お客さんは盛り上がらない...

一方、ある大御所のラッパーが同じフレーズで韻を踏むと、みんな最高に盛り上がる。

この説得力の違いも同じく、

”誰が”その韻を踏むのか、によって変わることだと思います。

では、どのようにしたら、

「言葉の重み」や「説得力」を身につけられるのでしょうか?

言い方を変えれば、

どのようにしたら、

”お客さんは”
どのようにして
目の前のラッパーに
説得力や言葉の重みを
”感じる”または”感じるようになる”
のでしょうか?

確かに、「RAPがうまくなること」というのも一つの答えでしょうが、このブログではせっかくなので

ちょっと違う要素にもいくつか目を向けたいと思います。


1.文字通り、どれだけHIPHOPらしいか?

少しずつ時代が変化しつつも、MCバトルはあくまでHIPHOPのジャンルで行われて行われていることなので、

いわゆるHIPHOPらしさが感じられないラッパーには手が挙がりにくいことがあります。

じゃあHIPHOPらしさって何か?

HIPHOPらしさも多様になっていますし、一概にはいえない永遠のテーマだとは思いますが...

HIPHOPらしくないラッパーがHIPHOPを気取って軽はずみにそれっぽい言葉を吐く場合、言葉の持つ説得力は薄まっていくように思われます。


2.自分のキャラクターや、やりたいことがお客さんに伝わっているか?

HIPHOPというジャンルとはいえ、MCバトルのキャラクターは、千差万別。

不良もいればエリートもいる、
飲んだくれキャラもいれば、好青年風キャラもいる、
学生もいれば、会社員もいる。

そういったキャラクターが、お客さんに伝わっていると、

「その人らしさ」が伝わることになります。

「その人だからこそ吐ける言葉」「その人らしい言葉」には、観ている側も頷けると思います。



3.応援したくなるかどうか?

MCバトルの判定は公平。

そう言いながらも、
やっぱり自分の応援してる人がファインプレーをしたときには、

歓声を送りたくなるものです。

あるラッパーを応援したくなる理由は様々でしょう。

有名だから、プロップスがあるから、バトルが強いから、HIPHOPらしい、必死さが伝わる、笑わせてくれる、勇気をもらえる...etc.

判定は公平に、と思いつつも、
同じ言葉を吐いても、応援されている人とそうでない人では、お客さんの反応が変わってきてしまいます。


繰り返すように、MCバトルで勝つために、RAPのテクニックを磨くのは大切なことですが、
単にそれだけでは、大きな大会ではなかなか優勝までたどり着けません。


その意味でも以上の1〜3は、
勝つためのヒントとして、多少なりとも関係あるのではないでしょうか?

難しいのは、1〜3は、
ちょっとした練習や小手先のテクニックではなかなか身につかないところです。

RAPを続けて現場経験を踏むことや、
RAPをしていない普段の時間をどう生きるか、
自分にとって譲れないものがあるかどうか、

そういった点も関わってくるのではないかと思います。


最後に、ワタシも言います
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「クソッタレな人生も上等さ」

うーん

これ、ワタシがこれ言ったら確実に負けるな...

ワタシもまだまだです...

ゆうま