大学院って、ぶっちゃけどんなとこ?(前半)
コンニチハ!
大学院生ラッパーの、ひらがなでゆうまです。
「高校生RAP選手権」「社会人RAP選手権」があるように、
ラッパーかつ高校生の方や(ラッパーかつ大学生もたいへん多い)ラッパーかつ社会人の方は結構いますが、
ラッパーかつ大学院生の方は、それほど多くないようなので、
今日は、
大学院ってどんなところか、
ラッパーのワタクシの目線から語りたいと思いマス。
なお、以下に書くことは、
大学院生ラッパーのワタクシの経験がもとになっている、リアルな話デス。(大学院生も人や場所によって色々な経験をされてると思いますが、話を聞く限り、ワタクシのような経験をされている人は比較的多いのでは...?)
(1)大学と大学院は、美容院と病院ぐらい違う!
大学1年生〜4年生を経て、
卒業し、就職される方がたいへん多いニッポンですが、
大学院1年生が、大学5年生のようなものだという勘違いをされる方が多いですが、
全然そんなことない!!
これだけは言っておきます!!
例えば次のような思いを持たれる方々...
「大学4年間行ったけど、まだ働きたくないし...」
「就職活動うまくいかなかったから、大学院に行って、就職活動再チャレンジしよう!」
「いつまでも大学生気分で遊んでたいし...」
「叶えたい夢(例えば音楽での成功)をあと数年で叶えるために...」
そんな気分で大学院に入ると、痛い目を見てぶちのめされます!!
放課後のサークル活動なんかないぞ。
和気あいあいとしたゼミなんかないぞ。
楽しい飲み会なんかないぞ。
廊下で仲良い友達とすれ違うこともなくなるぞ。
大学院の研究科(学部のようなもの)や、どこの大学院かによっても異なりますが、
一言で言うなら...
「とにかく研究(勉強)が生活の中心」
自分の時間をほぼ全て研究に使う...
もしかするとアルバイトの時間さえない...
休みがない...
大学院1年生はそんな生活が待ってると思って下さい!
逆に言えば、
研究大好き、空いてる時間さえあれば研究のこと考えちゃう、やりたい研究がはっきりしてる
そんな人たちには最高の環境です。
(2)社会人になった友人たちからの目線
想像してみて下さい。
大学4年間仲よかった友人たちは、卒業して、いわゆる社会人になった。
あなたは大学院の1年生です。
会社の慣れない環境で、上司や同期に気を遣いながら働いている社会人のお友達は、あなたのことをどう思うでしょうか?
「いいなぁまだ学生で...」
素直な意見デス。
お友達はあなたのことを、
大学のときのように、
”楽しくゼミでわいわいして、
楽しくサークルで飲み会して、
授業がない日はアルバイトして、
休みは自由に過ごしている”
そんな風に思ってるのデス。
でも本当は、大学院生は、先程書いたように、大学生とは全く違う。
仲良い友達にさえ、そんな状況を理解してもらえないわけです。
「あの子は話せば私のことをわかってくれる」
ある意味そうですが、ある意味そうじゃない。
大学院生の生活や状況は、大学院にいないとよくわからないものだと思います。
(それは、社会人の状況を、社会人でない人がよくわからないのと同じでしょう。)
では、大学院生の生活とはどのようなものなのでしょうか?
(3)大学院生の生活
大学院生(修士課程)は、基本、2年間です。
2年間で30単位以上を取得し、2年間(正確には1年9ヶ月間)で修士論文を書きあげて、最終試験に合格すると、修了です。
修士論文は、文系の場合、
60000字〜80000字程度書くことになるでしょう。
2年生はこれを書くことにほぼ1年間使うことになるので、
1年生のうちに、授業をたくさんとって必要な単位を取り切らなければならない。
しかも、1つ1つの授業が、重いです。
「90分間、大教室で先生の話を聞いて終わり...」なんてことはゼロに近いです。
超少人数(少ないと先生と2人きり、多くても10人弱)で、
とことん論文を読んで議論しあう。
そのためには、論文をきちんと読んでこないと全く授業に参加できないので(しかも、超少人数のために、読んでない場合、皆にも先生にもバレて恥をかくので)
準備時間がめちゃくちゃかかります。
先生も、大学生のときとは比べものにならないほど厳しい。
大学院は、研究者を育てるところなので、
先生たちは、大学院生を研究者として扱ってきます。
だから、大学院生の怠慢はもちろん、知識不足や理解不足、準備の中途半端さに、先生は喝を入れます。
そして先生は基本的には、授業をする人ではない。
あくまで、議論をうまい方向にもっていく、司会、補佐といったところでしょうか。
毎週、先生の代わりに1-2人の学生が交代で論文の内容を発表し、皆に説明するのですが...
超少人数の授業のために、
発表が回ってくる回数が多い!!
もちろん発表のためには、その授業の誰よりも論文を読み込んでいないといけないわけですから、
準備は凄まじい量になります。
このように、一つ一つの授業が重い!!
しかも、そんな授業が週に3〜4つもあると、
授業以外の時間は、とにかく準備時間に追われます。
さらに、そんななかで、人によっては、
学費や生活費、さらには学校で使うテキストなどを購入するためのお金を稼ぐために、
アルバイトをしなければならないわけです。
アルバイトはせいぜい週2回。もし仮に
3-4回もすれば、
眠る時間さえ確保できなくなる...
当然遊ぶ時間などないわけです。
アルバイトに終われ、
授業に追われ、
そんな大学院生は思います。
「社会人って楽だよなぁ。働いた分だけお金もらえるし、週に1,2回は休みがあるんだもん。」
こんな感じで、社会人のお友達と、相互に理解し合えないようになり、疎遠になることも少なくありません。
(4)大学院修了後の進路をどうするか?
先ほども書いたように、
大学院の修士課程は、基本2年間です。
そのため、2年が修了した後の進路を考えなければなりません。
選択肢は大きく分けて、
大学院 博士課程への進学 or 就職
です。
研究科にもよりますが、現在のニッポンの状況を考えれば、就職というのが無難だ、というのがオーソドックスな選択でしょう。
(博士課程へ進学する方のほぼ全員は、
研究職に就く、つまり教授になるとか、研究で生計を立てることを目指しています
とはいえ、博士課程を数年間経て、博士になったからといって、全員が研究職に就けるわけではなく、むしろ就ける方が珍しいほどに、たいへん激しい競争があるため、狭き門です。
人生をかけるほどに研究が好きで、なおかつ自分の研究でお金がもらえるほどに自信がない限り、博士課程へは進みません。)
もし就職の道を選ぶとすると、これがまたたいへん。
大学院1年生になってわずか9ヶ月後の1月
ようやく大学院生としての生活にも慣れてきた、というタイミングで、
就職活動が始まります。
大学院1年生になってからの9ヶ月なんてあっという間です。「就職活動の先延ばし」を理由に、大学院に進学した人は、
「入学したばかりなのにもう就活かよ!」
という思いをします。
しかも、大学院2年生の間は、60000字もの修士論文を書きながら、授業にも出ながら、アルバイトもしながら、就職活動をしなければなりません。
これは想像を絶するたいへんな生活。
大学4年間だけでは、特に将来やりたいことなど見つからなかったので、大学院に入ってゆっくり将来について考えよう...というのはあまりにも難しいし、そんな時間はほとんどないのです。
...と、ここまで書いてみたら、
すでに3000文字。
言いたいことは沢山ありますが、
今回は、大学院生の”大変さ”について少しでもわかっていただけたら、
肩身狭い思いをしながら一生懸命に頑張っている大学院生も少しは報われるのではないかと思います。
とはいえ、”大変”とか言いながら、大学院に進学するのも一つの自分の選択です。
自分で決めた以上、一生懸命やるのは当然。
しかも、大学院に通うというのは贅沢なことです。
「研究や勉強をしている場合じゃない」状況の方も、勉強したくてもする余裕のない人が沢山いるのがこの世界。
英語のschoolの語源は、ラテン語のschola(スコラ)。スコラとは、暇という美味です。
歴史的には、学校なんて、暇な奴が行くところ。働かなければ生活もままならない人は、行っている余裕がないわけです。
だから、好き勝手に大学院に行ってる以上、頑張れ、というのもひとつでしょう。
しかし今回は、大学院について、世の中からあまり理解がないなと思い、書いてみました。
話はこれで終わりではありません。
そろそろ皆さんも思ったことでしょう。
「じゃあ、お前はどうなんだよ!?」
「偉そうなこと言ってるけど、大学院生ラッパーってなんだよ?」
よろしい。
まだワタクシの個人的な話をしていませんでしたね。
次回、「大学院って、ぶっちゃけどんなとこ?(後半)」では、ワタクシの個人的な経験について赤裸々に語りたいと思います。
ゆうま